Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.841 caratteri · 376 schermate
彼は、反省してみる。自分の領下にある施政がどうか。自分が果たして、領民の心をつかんでいるか否か。
岐阜の領は、親ゆずりの遺産ではない。自己の実力で新たに版図に加えたものである。領民はついきのうまで、斎藤家を領主と仰いでいたものだ。それだけに困難が多いのである。
「ひと眼でも知れている敵の諜者の詭弁に、すぐに動かされるような領民では」
信長は、心をいためた。誰のせいでもない、信長自身の施政と徳のいたらぬためと考えるからである。
どうしたら民心を? ――と、瞑目して苦念する。
信長を信じろ。
と、令してみたところで、民心が自分の思うままに向くわけもない。
領民の本義にもとるやつは縛るぞ。
と、圧力を加えてみたらどうなるか。
これも覚つかない。
心の形体はどうにでも取れる。法令を布くはやすいが、法令に心服させるのは難しい。
いや民心には、法令と聞くと、内容を汲まないうちに、先に厭うような性格さえある。かつての遠い時代の暴圧が民層のなかに深くしみこんで、生理的にさえなっている。
では、法令と被治者、これはいつも溶けあわない片恋か。
「――で、あってはならない。