Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 197.228 caratteri · 394 schermate
「ありがたいお沙汰をうけながら、いつまでも、どうして来ないかと、わしも思っていたところじゃ。いま御采地の地方絵図をお示しする。まあ、きょうはゆっくりして行くがよい」
いつの間にか、もう平六の前にも主の前にも、美々しい膳部や酒器が並んでいた。それを運んで来たり、酒間をとりなす召使の女にしても、岡崎や浜松の女の肌目ではなかった。わざわざ京都から抱え入れたものらしい。
酒はきらいでないし、自分たちが日頃、惜しみ惜しみ飲んでいる粗製とはまるでちがう。人間、誰しもこういう一夕の悪かろう筈はない。平六はすっかりいい気もちになった。
「もう……もう充分でござる。お暇いたします」
「采地の事情も地境も、よく分ったろうな」
「わかりおります。いろいろどうもお世話で」
「むむ。……ところで、近藤」
「はあ」
「自分の口から申しては恩着せがましいが、こんどの恩典も、実はこの弥四郎が、それとなく君前へおとりなししたればこそ、お沙汰が下ったのだぞ。……それだけは、記憶してくれい。この大賀を疎略には思うまいが」
「…………」
平六は、うんもすんも答えなかった。興ざめた顔して、弥四郎のあばたを見まもっていた。