Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate
「そうだ。そうではあったが」
「うそだったのでございますか」
「弱ったのう」
「いけません。たとえ嘘で仰っしゃったにしても、私はもう尼院へは帰りません。正直にあなたのお後について、禅尼さまにも黙って出て来てしまったのですから、……きっと、そんなことだろうとおもい、わたくしは近道して、ちゃんと、友松さまの来るのをここに待っていたのでございますよ、――お困りになりまして」
「冗談ではない。ほんとに、禅尼どのにも黙って、出て来てしまわれたのか」
「あなたとちがい、於通は嘘はつきませぬ。この通り、常から旅支度もととのえて、いつでもと心がけていたのです」
「やれやれ。だましもすかしも利かぬ女子だ、まあ、そこへ坐ろう。そしてもう一ぺん友松のことばを聞いてくれい。わるいことは、決していわぬ」
友松は、さきに腰をおろして、思案の膝をかかえこんだ。
「なんですか」
於通も素直に、彼に倣って、草の上に坐った。
すがた、ことばは、素直であるが、これほど素直でない娘を友松は余り知らない。
ひと月あまり、同じ里にいる間、彼の借りている宿へ、於通もよくやって来た。それには、彼女としての目的があった。