Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.757 caratteri · 375 schermate
「はや、合戦もこれまで、本丸囲いへお退きあって、お心静かに、お腹を召させられませ」
「何、腹を切れと。――ば、ばかな。瀬兵衛、ただ腹を切るのは嫌いだ。――離せっ、離せ。馬の口輪を」
――ただ一騎となっても、なお最後の一戦を思い捨てぬ瀬兵衛だった。
「腹を切るより、よき敵と刺しちがえてこそ死ね。……淵之助、無用な死所へ俺を連れて行くな。死にざまなど、どうでもいいわさ。俺は、もいちど敵へ見参する。おぬしは、いいように死ね」
云い放って、手綱に波をくれ、馬の首を悍強く振らせた。
「それまでに、仰せなれば」
と、中川淵之助は、口輪の手を離して、一瞬、眼に涙をためた。血のつながる同族であり、山崎の合戦にも、終始、死生の境を共にして来た主人でもある。
「……あっ、追って来ます」
「来たか。――仕合わせ」
うしろへ迫る喊声にたいして、瀬兵衛は直ちに、馬首をめぐらそうとしたが、あわれ、馬さえ疲れ果てている。焦心ッて、あぶみの踵で馬腹を蹴った。しかし朱にまみれた馬の巨体は、嘶いては、よろめくばかりだった。
そのとき――
「中川瀬兵衛清秀はここぞ。――瀬兵衛これにあり。いざ、いざ寄れ」