Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.757 caratteri · 375 schermate

Aozora Bunko

玄蕃允もであるが、残余の部下も、ひとしく勇気をもり返した。

「猿めが首を、味方の槍先に見ぬうちは、一歩も退くな。――前田衆に嘲わるるな。恥を知れや、者ども」

玄蕃允は励ましつつ将士のあいだを巡っていた。さすがに、ここまで、彼についていた将士はみな恥を知る者だった。具足も血、槍も血にまみれている姿が多く、その血は、朝から照りつけている陽に干からびて、草ぼこりや土にまみれている。

(水が呑みたい。ひと口)

誰もの顔がそう見える。しかし求めている間もない。万丈の黄塵と、敵の馬蹄の音は、はや彼方に近づいていた。

賤ヶ嶽からこれまで、一席捲の勢いで進撃しつづけて来た秀吉も、茂山を前にひかえて、

「ここは、前田父子の陣前――」

と見ると、にわかに先駆の盲進をとどめた。そして一応、人数をまとめ、陣容をととのえているらしく思われる。

この場合、対峙の線は、鉄砲の射程距離外にあるこというまでもない。

前田勢の銃手をもって、玄蕃允はすぐ敵の進路に、急速な配置を指揮しつつあったが、彼方の砂塵は、動かぬ人馬を蔽いつつんだまま、射程に入って来なかった。

「…………」

利家は、玄蕃允と別れた後も、山の端に佇んだまま、それを遠くに見ていた。