Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.757 caratteri · 375 schermate
子の忠興も同じように、秀吉の横顔を仰ぎながら、ひとつのことを思い出していた。それはかつて細川家の運命が大きな岐路に立ったときである。その去就に、家中を挙げて紛論のかわされた席で、父の藤孝がこういって、就く所を直指したことがある。
(自分はこの年まで観ることの稀れな人間を、今の世において二人まで見ている。ひとりは浜松の徳川家康、もう一名はまぎれもなく筑前守秀吉である)――と。
しかし、それを今考え出してみてもなお、若い忠興には(――そうかなあ?)と思われるのみであり、
(これが父のいうような、稀れな人だろうか。今の世に二人ぐらいしかいない程な大将だろうか?)
を疑わずにはいられなかった。――殊に、秀吉という実物を眼の前に見ていると、よけいにそう惑われてならない。どう見ても、それ程とは、思えないのである。
やがて、佐和山城中の一廓へ退がって、父子一室にくつろいでから、この気持をありのまま、父にいってみると、藤孝は、さもあろうといわぬばかりに、
「わかるまい。そちなどの器量と年齢では、まだまだ」
と、つぶやき、忠興の不服そうな眸に気づくと、若い者の心を察してまた云い足した。