Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
」
長屋だてのギシギシした板の間をふんで、お君さんの御亭主が出て来た。
「こんなところでよければ、いつまででもいらっしゃい。またそのうちいいところがありますよ。」と云ってくれる。
部屋の中には、若い女の着物がぬぎ散らかしてあった。
夜更け。フッと目が覚めると、
「子供なんかを駅へむかいにやる必要はないじゃありませんか、貴方が行っていらっしゃい、貴方が厭だったら私が行って来ます。」
お君さんの癇走った声がしている。やがて、土間をあける音がして、御亭主が駅へ妾さんをむかいに出て行った。
「オイお君! お前もいいかげん馬鹿だよ、なめられてやがって……」
向うのはじに寝ていたお婆さんが口ぎたなくお君さんをののしっている。ああ何と云う事だろう、何と云う家族なのだろうと思う。硝子窓の向うには春の夜霧が流れていた。一緒に眠っている人達の、思い思いの苦しみが、夜更けの部屋に満ちていて、私はたった一人の部屋がほしくなっていた。
(四月×日)
雨。終日坊やと遊ぶ。妾はお久さんと云って頬骨の高い女だった。お君さんの方がずっと柔かくて美しいひとだのに、縁と云うものは不思議なものだと思う。