Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
眠くって頭の芯がズキズキするのをこらえて、朝の街に出てゆくと、汚い鋪道の上に、散しの黄や赤が、露にベトベト濡れて陽に光っていた。四谷までバスに乗る。窓硝子の紫の鹿の子を掛けた私の結い綿の頭がぐらぐらしていて、まるでお女郎みたいな姿だった。私はフッと噴き出してしまう。こんな女なんて……どうしてこんなに激しくゆられ、ゆすぶられても、しがみついて生きていなくてはならないのだろう! 何とコッケイなピエロの姿よ。勇ましくて美しい車掌さん! 笑わないで下さいね。なまめかしく繻子の黒襟を掛けたりしているのですが、私だって、貴女みたいにピチピチした車掌さんになろうとした事があったんですよ。貴女と同じように、植物園、三越、本願寺、動物園なんて試験を受けた事があるんです。近眼ではねられてしまったんだけれど、私は勇ましい貴女の姿がうらやましくて仕方がない。――神宮外苑の方へ行く道の、一寸高い段々のある灰色の建物が警察だった。八ツ手の葉にいっぱい埃がかぶさったまま露がしっとりとしていて、洞穴のような留置場の前へはいって行くと、暗い刑事部屋には茶を呑んでいる男、何か書きつけている男、疲れて寝ころんでいる男、私はこんなところへまで、昨夜の無銭飲食者に会いにこなければならないのかしらと厭な気持ちだった。