Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
「私は田舎から出て来たばかりで、初めてなんですが、今晩行くところがないから、どうしてもつかって下さい、一生懸命働きます。」と云っている。うすら冷たい風に、メリンスの単衣がよれよれになって寒そうだった。どうせ、こんなカフエーなんて、女でありさえすればいいのだもの、この女だって、信玄袋をとれば鏡をみつめ出すにわかっています。
「お上さん、とても店には女がたりないんですからおいてあげて下さいよ。」
上州生れで、繭のように肥った彼女は、急な裏梯子から信玄袋をかついで二階の女給部屋に上って行った。「お蔭様でありがとうございます。」暗がりにうずくまっている女の首が太く白く見えた。
「あなた、いくつ?」
「十八です。」
「まあ若い……」
女が着物をぬいで不器用な手つきで支度をしているのをそばでじっと見ていると、私は何かしら眼頭が熱くなって来た。ああ暗がりって、どうしてこんなにいいものなのだろう、埃のいっぱいしている暗い燈の下で、唇を毒々しくルウジュで塗った女達が、せいいっぱいな唄をうたっている。おお神様いやなことです。
「ゆみちゃん! あの人がいらっしゃってよ。」
いつまでもこの暗がりで寝転がっていたいのに、由ちゃんが何か頬ばりながら二階へ上ってきた。