Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
百円以上も貯っている。大したものだ。銀貨の重なった上に掌をぴたりとあててみる。気が遠くなるような誘惑にかられる。私以外にはここには誰もいない。四時になれば、あの眼尻にいぼのあるひとが金を取りに来る。
罪人になる奇蹟。
何と云う罪になり、どの位カンゴクにはいるものだろう……。
神様がこんな心を与えるのだ。神がね。
「朝から夜中まで」の銀行員の気持ちにもなる。
プロシャのフレデリックは「誰でも、自分自身の方法で自分を救わなければならぬ」と云ったそうだ。ああ、誰かが金を持って、この天幕を訪れる。私は鉛筆をなめながら、註文主の代筆で三行の文章を綴る。みんな美しい奴隷を求める下心だ。その下心を三行に綴るのが私の仕事。もう、私の頭の中には詩も童話も何もない。
長い小説を書きたいと想う事があっても、それは只、思うだけだ。思うだけの一瞬がさあっと何処かへ逃げてゆく。
花柳病院の広告を頼みに来る医者もいる。まことに、芸妓募集、花柳病院とは充実したものだ。私は皮肉な笑いがこみあげて来る。あらゆるファウストは女に結婚を約束して、それからすぐ女を捨てる。三行広告にもいろいろな世相が動いている。