Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
槐多はかくも叫びつづけている。こんなうらぶれた思いの日、チエホフよ、アルツイバアセフよ、シュニッツラア、私の心の古里を読みたいものだと思う。働くと云う事を辛いと思った事は一度もないけれど、今日こそ安息がほしいと思う。だが今はみんなお伽話のようなことだ。
薄暗い部屋の中に、私は直哉の「和解」を思い出していた。こんなカフエーの雑音に巻かれていると、日記をつける事さえおっくうになって来ている。――まず雀が鳴いているところ、朗かな朝陽が長閑に光っているところ、陽にあたって青葉の音が色が雨のように薫じているところ、槐多ではないけれど、狂人のように、一人居の住居が恋しくなりました。
十方空しく御座候だ。暗いので、私は只じっと眼をとじているなり。
「オイ! ゆみちゃんはどこへ行ったんだい?」
階下でお上さんが呼んでいる。
「ゆみちゃん居るの? お上さんが呼んでてよ。」
「歯が痛いから寝てるって云って下さい。」
八重ちゃんが乱暴に階下へ降りて行くと、漠々とした当のない痛い気持ちが、いっそ死んでしもうたならと唄い出したくなっている。メフィストフェレスがそろそろ踊り出して来たぞ! 昔おえらいルナチャルスキイとなん申します方が、――生活とは何ぞや? 生ける有機体とは何ぞや? と云っている。