Classici giapponesi con furigana
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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Leggi 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) di 内田 魯庵 (うちだろあん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.401 caratteri · 427 schermate
「本屋へ出鱈目のウソをついて七処借をしたのサ、」と大杉はいった。大杉の本が売れるにしたところで二軒や三軒の本屋で欧羅巴へ出掛ける旅費が調達出来るかとその時は疑ったが、死後に大杉が本屋に残した負債が一万円以上ある事を聞いて打明け咄のまるきりウソでなかった事が解った。大杉がいよいよ帰朝するからと送金を打電した時に野枝が調達に奔走して七処借をして漸とこさと工面したという咄は大杉の帰朝前に聞いている。それ以外に領事館からも汽船賃その他を立換えてもらったそうだ。神戸へ帰着してから出迎えの野枝や児供と共に一等寝台車で東京へ帰った汽車賃は大杉の自由行動を防止して同志から遮断する必要上官憲が支弁したのである。前後の事情から考えて見てもこの疑問の渡欧費は全部が本屋から調達したのでなくとも、後暗い金の出場が別にあったとは思われない。
歴史上の事実には、今だに真相が解らなくて黒白のハッキリしない人物が少くない。大杉が果してスパイであった乎否乎はマダ謎であるが、大杉の人物性行や日常生活から推してスパイであったとはドウしても考えられない。大杉は直情径行でスパイの勤まる柄ではない。