Classici giapponesi con furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Leggi 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.076 caratteri · 256 schermate
その白さも、薔薇の白ではなくて、白夜、白雨といった感じ、夏らしい清新の感がともなっております。
わたくしは那須野をよく知りません。奥州へ行ったおり、時折通りすぎた汽車の窓からあかず眺めて通ったところで御座います。あの広々した野を見ると、せせこましい、感情にのみ囚われている自分から解きほどかれて、自由な、伸々した、空飛ぶ鳥のような勇躍をおぼえました。わたくしは山は眺めるのを好みます。海の眺めも好きです。が、野の景色ほどしみじみと好きなものはございません。あかず行く雲のはてを眺め、野川の細流のむせぶ音を聞き、すこしばかりの森や林に、風の叫びをしり、草の戦ぎに、時の動きゆく姿を見ることが望みでございます。むさしのに生れて、むさしのを知らぬあこがれが、わたくしの血の底を流れているのでございましょう。
いま、わたくしの目の前、小さな窓も青葉で一ぱいで御座います。思いは遠く走って、那須野の、一望に青んだ畑や、目路のはての、村落をかこむ森の色を思いうかべます。御住居は、夏の風が青く吹き通していることと思います。白い細かい花がこぼれておりましょう。うつ木、こてまり、もち、野茨――栗の葉も白い葉裏をひるがえしておりましょう。