Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate

Aozora Bunko

その頃、どうかすると美妙が、じりじりしているのを、錦子は見逃さなかった。小説は「萩の花妻名誉の一本」を発表してもらえることになっていた。

そうした日の、ある夕ぐれ、青葉の匂いを嗅いで、そぞろ歩きをしようと、当然帰途は美妙斎におくってもらうつもりで訪ねると、留守だった。

賢そうなお母さんが出て来て、まああがれ、まあ上れと進めた。

美妙斎がお母さん孝行なことは、話をしていてもわかるので、錦子もお母さんの進めに逆らわなかった。

「あなたは、他家へはお出になられないのでしょうね。御惣領では――」

と、なんとなく、お嫁にゆかれるのかというような、口うらをひかれた。

「お宅は、お妹御さんおひとりですか?」

ともいった。

錦子は、美妙のお母さんのいう意味を、意識しながら、自分には優しくしてくれる祖母がいるので、大概な願いは叶うのだというように言った。

すると、継母ではないのかときかれたので、錦子はどぎまぎした。そんなはずはないとうち消した。

「でもね、財産のあるお家の、家督を捨て、いくらあなたが物好きでも……」

と、お母さんは考えるように言うのだった。

錦子は、ふと、暗い気がした。