Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate

Aozora Bunko

すこしいつくと、あんな好い都はない、何もかもがよくなってくるというパリも、そこまで住馴染まないうちに、お雪はも一度京都へやって来た。

「今度は、お母さんと三人で住まおう。ちょうど、須磨に、友人の家が空いたそうだから。」

と、モルガンは優しい。

須磨では、のんきな、ほんとうに気楽な、水入らずの生活が営まれた。

「パリというところは、どんな処だい。」

と生母に訊かれると、

「古くさいけど、好いところもある。」

「雨はどんなに降る?」

「一日のうちに、幾度も降ってくるのどすえ、今降ったと思うと晴れる。」

「では、いつも傘持って歩いとるの。」

「いえな、誰も持ってしまへん。軒の下や、店さきに、みんなゆっくり待ってやはるのえ。東京の人のように駈けだすものありゃへんわ。フランスで、雨にあって、もうやむのがわかっていても、駈出すのは、日本人ばかりやいうけれど――」

「西京のものは、さいなことしやせん。そんなら、パリというところ、京都に似てるやないか。」

「しっとりした都会で、住んだら、住みよいところで、離れにくいそうやが――」

母子がそんな話をしているときに、モルガンの父の病気が重いという、知らせが来た。