Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate

Aozora Bunko

――あの、賤しい女に、何で、わたしは見下げられるのだ――と、ふと、そのことを、いま、帰っていった、襖の向うの女の声から、連想を呼び出されていたところだったのだ。

「なにをぼんやりしているのさ。」

泡鳴氏は、はりあいなさそうにいった。

「ふん、これね、なんだか冷たい恋のようで、わたしたちに似ているから。」

と、清子は心にもないことをいって、はぐらかして、生けてあった連翹の黄色い花を指さしたが、鏡の中に、陰気くさい、気むずかしい顔をしている自分を見出すと、彼女は、またしても家のなかの空気を暗くしてしまう自分を、どうしようもなくなって、気をかえに散歩にでも一緒に行こうと、立上ると、八畳の部屋を覗いた。すると、泡鳴氏は後むきになって横になっていた。清子はその背中から、悶々としている憂愁を見てとった。

*

「僕はもう諦める。僕にそういう心を起させるものを切りすてる。泣くには及ばない。」

せせぐり泣く枕許で泡鳴はそういった。そんな事をさせてはならないと、二十八歳の処女は泣いたのだ。とはいえ、二ツの思想が同棲している以上、この争闘はくりかえされなければならない。