Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

そのうちに徳兵衛の貧乏いよいよ迫り、ことしの暮は夜逃げの他に才覚つかず、しのびしのび諸道具売払うを、町内の顔役たちが目ざとく見つけ、永年のよしみ、捨て置けず、それとなく徳兵衛に様子を聞けば、わずか七、八十両の借金に首がまわらず夜逃げの覚悟と泣きながら言う。顔役は笑い、

「なんだ、たかが七、八十両の借金で、先代からのこの老舗をつぶすなんて法は無い。ことしの暮は万事わしたちが引受けますから、もう一度、まあ、ねばってみなさい。来年こそは、この身代にも一花咲かせて見せて下さい。子供さんにも、お年玉を奮発して、下職への仕着も紋無しの浅黄にするといまからでも間に合いますから、お金の事など心配せず、まあ、わしたちに委せて、大船に乗った気で一つ思い切り派手に年越しをするんだね。お内儀も、そんな、めそめそしてないで、せっかくのいい髪をもったいない、ちゃんと綺麗に結って、おちめを人に見せないところが女房の働き。正月の塩鮭もわしの家で三本買って置いたから、一本すぐにとどけさせます。笑う門には福が来る。どうも、この家は陰気でいけねえ。さあ、雨戸をみんなあけて、ことしの家中の塵芥をさっぱりと掃き出して、のんきに福の神の御入来を待つがよい。