Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

貧者は貧者同志、短慶どののつらい立場を見かねて、ご自分の大切な一両を黙って捨てたとは、天晴れの御人格。原田内助、敬服いたした。その御立派なお方が、この七人の中にたしかにいるのです。名乗って下さい。堂々と名乗って出て下さい。」

そんなにまで言われると、なおさら、その隠れた善行者は名乗りにくくなるであろう。こんなところは、やっぱり原田内助、だめな男である。七人の客は、いたずらに溜息をつき、もじもじしているばかりで、いっこうに埒があかない。せっかくの酒の酔いも既に醒め、一座は白け切って、原田ひとりは血走った眼をむき、名乗り給え、名乗り給え、とあせって、そのうちに鶏鳴あかつきを告げ、原田はとうとう、しびれを切らし、

「ながくおひきとめも、無礼と存じます。どうしても、お名乗りが無ければ、いたしかたがない。この一両は、この重箱の蓋に載せて、玄関の隅に置きます。おひとりずつ、お帰り下さい。そうして、この小判の主は、どうか黙って取ってお持ち帰り願います。そのような処置は、いかがでしょう。」

七人の客は、ほっとしたように顔を挙げて、それがよい、と一様に賛意を表した。