Classici giapponesi con furigana
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たびへのいざない
旅への誘い
織田 作之助
Leggi 旅への誘い (たびへのいざない) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5734 caratteri · 12 schermate
たぶん二人の仲は、その生徒よりも三つか四つ歳上の姉が、苦学生だというその境遇に同情して、洋服のほころびを縫ってやったり、靴下の穴にツギを当ててやったりしただけの淡いもので、離れてしまえばそれ切り、居所を知らせる義務もないような、なんでもない仲であったのかも知れないと、道子は想像した。
「けれど、お姉さまが待っていらしったのは、やはりこの人の便りだったのだわ。」
道子はそう呟き、机の抽出の中に大切につつましくしまわれていた「即興詩人」の中に、ひそかな姉の青春が秘められていたように思われて、ふっと温い風を送られたような気がした。
「でも、待っていた便りが、死んでしまってから来るなんて、そんな、そんな……。」
そう思うと、道子はまた姉が可哀想だった。姉の青春のさびしさがこんなことにも哀しく現れていると、ポトポト涙を落しながら、道子はペンを取って返事をしたためた。
妹でございます。姉喜美子ことは、ことしの七月八日、永遠にかえらぬ旅に旅立ってしまいました。永い間ご本をお借りして、ありがとうございました。……
そこまで書いて、道子はもうあとが続けられなかった。