Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
真紀子のどこにこんな放埒なものが潜んでいたのかと、久慈の驚きあきれて見ている間に、高はもう煙草を真紀子の方へ出していた。
「有りがとう。」
真紀子はちょっと高に笑顔を向け、ライターを点けた彼の火の方へ跼んでから、また久慈に、
「あなたはもうお帰りになって。面白くない。煙草といえば煙草下さればいいわ。何を観察してるの。」
久慈は下顎を強く蹴りつげられたようだった。煮えたぎってくるような怒りを圧えているうちにも、ますます喰み出して来る真紀子の美しさに呼吸も荒くなり、くるりと窓の方へ向き変った。
「不合理極まるぞ。」
久慈の呟いた苦笑にどッと笑いが立ったが、すぐまたぴたりと静かになった。
「何を云ったの。何んだか云ったわね。」
真紀子は向うを向いた久慈の背を自分の方へ廻そうとして、にたりとした笑みを泛べ、彼の腕の付根を引っぱりながら、
「こっちを向きなさいよ。何も羞しい人いないわ。皆さん船の中の人たちばかりよ。ね、千鶴子さん。あのころは面白うござんしたわね。香港のロマンス・ロードで、春雨の降って来た中で、海を見てあたしたち蜜柑を食べたでしょう。あんな美味しい蜜柑って生れて初めてよ。