Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
僕はどうもそれが面白い結果になろうとは思えないんだがね。」
足さきを見詰めながらときどき慄えるように肩をつぼめていた千鶴子は、初めて納得のいった様子だった。
「でも、真紀子さんの御主人まだウィーンにいらっしゃるっていうお話よ。そんならやはり遠慮なさる方がいいと思うわ。」
「別れて来たというんだよ。」
「でも、そうかしら、ほんとうに。」
「そこは分らないが、しかし、一人こんな所に細君をほったらかしておくというのは別れた以上だからね。ついそれで柄になく同情したのが始まりさ。だって、あんな危い日本人がパリでひとりふらふらしているのを見てられるものか。どこへ転げ込むか分ったものじゃないよ。それでつい、倒れ込むなら一緒の船で来た縁故もあるから、当分はと思って油断してたんだけれども、お袋の夢まで見ちゃ帰って叱られるに定っているし、さてと考え直したところなんだ。実際、僕の身になってみてくれ給え。むずかしいぞ。譬えばまア失礼な話だが、君のような人なら僕は威張ってお袋の前へつれて帰れるけれども、他人の細君じゃね、だいいちお金もうお母さんくれやしないや。」
千鶴子の顔さえ見れば良いと思って上って来たためか、何んとなく久慈は嘘ばかり自分が云っているように思えてならなかったが、しかし、まだ嘘はどこ一つも云ってなかった。