Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate

Aozora Bunko

それでもどうかした拍子に花嫁になろうとしている真紀子の、どこかの一点が突然美しく見えて来ると、行手に光りのさし始めたように心を躍らし、今のはあれは何んだったのだろうと、暫くは頭に残った印象を追ったりした。その度びに、

「まだ俺は美しさが好きなんだ。こんなに美しさが好きなところを見ると、まだ俺は外道なんだ。」とこう思い、そろそろ夜に入ろうとしている自分の変化を感じて来るのだった。

「ね、君。」と久慈は矢代の方を向いて云った。「僕はこのごろときどき思うんだが、近代人の求めている意志というものは美でもなければ真でもない、そうかといって善でもない、あるその他の何ものかだと思うんだが、どうかね君は。」

「じゃ、何んだ、悪か。」

と矢代は事もなげに云ってのけた。久慈は我が意を得たという風に眼を輝かせた。

「そうだ、どうも悪に近いが悪じゃない。例えばこの電気を見たまえ。僕らの求めている電気に似たような、そんな精神は言葉にはまだ無いのだ。だから、たった一つの言葉を誰かが発明すれば助かるのだよ。それがないのだなア。」

と久慈はぼんやりと電灯の光りを仰いで云った。

「愛とか智とかあるじゃないか。