Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
千鶴子の一息に飲み下す眼もともうやうやしくひき緊った表情に見え、それもみな自分の心に応じてくれた優しさだと一層喜ばしくなるのだった。
「それでは明日はお疲れだから、今夜はこれで失礼しましょうか。」
矢代は果して帰れるものかどうか自信もなかったが、気持ちの晴れたのを好機に、こう云って絡る思いをひき断る気力でうーんと力を椅子の肱に入れてみた。
「でも、今夜だけはもっとお話していたいわ。あたし。」
千鶴子は表情も動かさず、突然帰ろうとする矢代の考えを嚥み込みかねた訝しさで矢代を見上げた。
「しかし、飛行機は疲れますよ。良ろしいか。」
「でも、たった三時間なんですもの。眠らなくってもいいわ。クロイドンまでだと一時間半よ。」
矢代は千鶴子の眼に光りの浮いたのを見てまた坐ったが、彼が坐るとすぐ千鶴子はコップに葡萄酒を瀝いでちょっと黙った。
「明日沢山来て下さるんだから、もうお話も出来ないでしょう。ずっとブールジエまで、自動車で御一緒出来るといいんだけど、来て下さる方にお気の毒ですから、やはり飛行館までにしようと思いますのよ。」
しかし、矢代はこれ以上いては、別れが苦しくなるばかりだった。