Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate

Aozora Bunko

」

と顔を青年らしくぼっと充血させて始終を話した。話しながらも塩野はもう何か新しい風景を見つけたものか、写真機を停っているバスや千鶴子の方へ向けていた。荷物も飛行場行のバスの底に入れられてしまったとき、久慈は千鶴子に云った。

「もうパリはこれで見おさめだから、よく見ときなさいよ。ここを発つときは誰だって泣くんだそうだが、君もう泣いちゃったの?」

「あたし? あたしは泣かないわ。カソリックなんですもの。」

千鶴子は暗に昨夜の潔白さを示したい反抗の語調で軽く笑い、そう云ってからふと傍の真紀子に気がねの様子で振り返ると、

「マルセーユへ皆さんと着いたの昨日のようですのに、早いものですことね。でも、ほんとうに、あたしもうこれでここ見られないのかしら。」

とあたりの街街を見廻した。

「それや、君の心がけ次第さ。」

と久慈はまた赦さずひと刺し千鶴子を刺すのだった。

「じゃ、あたし、もう一度来るわ。一度来てしまうと、何んでもなく来れるように思えるのね。神戸で船の梯子を登れば、もうそれでいいんですもの。」

それはそうだというように真紀子も久慈も笑ったが、真紀子だけは帰りたそうに空を眺めていてから、今日は帰りにスペイン行のコースを験べて来ましょうと久慈にせがんだ。