Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate

Aozora Bunko

まだお金はあるだろうかと思ったり、言葉も通じない所で、さぞうろうろしていることだろうと思ったり、それはそれは心配なものですよ。」

母は元気を恢復して来たらしい矢代の様子を見て、愚痴らしいものも初めて洩した。

「お金のないときはそれや弱ったけれど、言葉なんか、日本語で結構間にあいますよ。どこだって通じる。むしろ外国語をうまく使う方が、日本でこそ尊敬されるが、外国人からは馬鹿にされる方が多いですからね。」

と、矢代はこんなに自分の不得手な語学に、少しは手柄を与えてやりたくなって云った。それは弁解に等しいものだったが。

「へえ、そんなものですかね。」

「それや、外国語を使うに越したことはないですが、そこは何んというか、僕だって少しは自尊心も出ますからね。妙なもので、外国にいると自分の国の言葉が、非常に有難くなるんですよ。ですから、日本語を使うと日本人には笑われるけれども、まア、一度はそんな真似も、やってみたくなるんですね。」

事実を云えば、異国にいる日本人の多くの者の争う点は、能ある鷹は別として、その滞在国の言葉が出来るか否かということか、出来ても発音とか読書力とかでまた争い、練達しているものはまた、不思議とどちらが出来るかということで争うのが常だった。