Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
――あなた会いましたか、あれから?」
「いや、まだです。無事帰られましたか。」
と矢代は力のない小声で訊ねた。
「帰ってますよ。僕昨日ちょっと電話で話してみただけだが、行ってみましょうこれから。」
「うむ。」矢代は生返事をした。行きたいことは山山だった。それはもう氷河の話が出たころから、千鶴子の名前がいっぱいに膨れ襲いかかって来ていたのだが、それが塩野から無造作にそう云いかけられると、急に返事に詰り、云いようのない苦渋な気持ちで即答が出来かねるのだった。塩野は矢代の表情を伺いながら、瞬間これも理解に苦しむ風な、うつろな眼のまま黙り込んだ。
「それより、夕御飯どっかでどうです。久しぶりですからね。」
ようやく矢代はこう云って自分の苦しさを掻き除けた。
「ほんとに久しぶりだなア、千鶴子さん、夕御飯に呼んでやろうじゃないですか。喜びますよ。」
再会の喜びに夢中の塩野からまたそう云われては、矢代も今は抗しがたかった。それも、千鶴子を呼び出すほどなら、むしろ出かけて行っても良かったところを、彼女の家へ直接行き渋る矢代を遠慮とのみ思い込んだ、塩野の勘違いだった。矢代は、この喜びをそのまま素直に受取ろうとしない自分に気枯れのした暗さを二重に感じ、彼にそれも云えない焦燥のまま、不思議と彼は沈みこんだ。