Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate

Aozora Bunko

ないね。」

と矢代は云いながらナイフを鶏の脇腹へぐっと刺した。

「しまった。僕もそ奴を食べるんだった。僕が払うんだと思って倹約したので損をしたぞ。」

久慈はコールドビーフのような羊のなよなよした薄焼を切りながら、しきりに矢代の鶏に秋波を投げた。互に見せびらかしつつ食べる晩餐の敵意は、食物の味を一層なごやかなものにするのであった。

「横浜のへいちんろまだあって。」

とアンリエットは訊ねた。

「ありますあります。」

「あそこのスフタ、忘れられないわ。ね、久慈。」

とアンリエットは久慈の方を向くと、彼にだけはフランス語で、自分は支那料理が好きだが、パリではどこのが一番美味かと訊ねた。

菓物棚からオレンジが出て来ると、また、アンリエットはパリの料理屋の質を知るためには、菓物棚に並んだ菓物を見るのが何よりだと矢代に教えた。オレンジからコーヒーに変ると久慈は口を拭き拭き延びをして、

「さアて、明日は千鶴子さんが来るんだが、弱ったなア。船の中と陸の上とは道徳が全く違うってことを、どうしたら女の人に説明出来るか、むつかしいぜ、これや。」

「そんなことは、君より向うの方が心得てるよ。