Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
「ロンドンも良いが、それよりそろそろ僕は日本へ帰りたくなったね。」
「君も困り出したのか。外国へ来て、初め困らぬ奴は、必ずそ奴は悪者だというから、も少し君も辛抱するさ。」
「そんなら君は悪者の傾向があるぞ。」
「いや、僕だって困っているが、ただ僕のは困らぬ方法を講じているだけだよ。もうこうなれば楽しむより法はないからね。」
どんなに意識が確かだと思っていても、どこかに矢張り病的なところの生じてしまっているのは否めないこのごろの二人だったが、どこが病的になっているのかそれぞれ二人には分らなかった。ただ一方が下へ下れば、他の方がそれが下っただけ上へ上げねば心の均衡のとれぬもどかしさにいらいらとするのだった。しかもそんな状態がいつも二人につづくのである。今もまたそんなにふとなりかかったとき、西の空からもうプロペラの鳴る音が聞えて来た。久慈は窓から空を眺めてみた。
「あれだよ。空から下って来るのも良いものだな。天降りというやつだ。」
銀灰色の一台の単葉がエア・フランスのマークを尾につけつつ見る間に大きく空中に現れた。
「イギリスの飛行機に乗って来ないところを見ると、よほどパリへ来たかったのだね。