Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
日本の古代文字のワという字は零ですよ。つまり、輪の丸がワの字で、むすびの十番にこの丸を置いたということには、日本数学の何かがあるとこのごろ思っているのですがね。ところが、ギリシアの数には零という字がない。あれが僕には分らない。零というのは輪で、これはむすびの和なんだが。和がないなんて。」
「僕は日本の古代文字のことは知らないんですが、数学では零というものの観念は、まだ誰にも分らないのですよ。ところが、その零という分らぬ丸の上に、すべての近代文化が乗って花開いていると云うんです。」
と槙三はふとさし俯向いて云ったまま黙ったが、やはり穏かな微笑を泛べていた。
「零がね。不思議だこと。」
千鶴子も少し考えたらしく黙って箸を動かした。
食事を終ったころは風も消え、雪明りの谷に馬の嘶きが厳しく響き透って来た。矢代は欄干から明日の料理の鳥を頼んである家の明りを探した。一軒家の茶店の窓から、通りの雪に射すランプの色が温い平安な感じだった。千鶴子も食事をすましてから矢代の傍へ来た。
「あら、雪がやんだわ。あなたの山小屋ここから近いんですの。行ってみたいわ。」
「このすぐ上です。