Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate

Aozora Bunko

「しかし、それは何も僕らにも無理はないので、日本についてはちっとも知らぬという、無邪気なところがあったのですね。われわれみたいなものに日本なんかそう矢鱈に知られちゃ、実際たまらんというときが、日本のいまというものかもしれないんだから、何も知られない方がむしろ結果が良いので、こっそり隠しているのだ。もう暫くすればきっと分るときが来るんじゃありませんかな。もう暫く、そのもう暫く日本人を眠らせて置くということが、それが日本の先祖の愛情のある工夫なんじゃないかと、僕はこのごろになって思うんです。きっとそうですよ。」

こう矢代の云っているとき雪の坂路を、両手に手櫃を下げた茶店の老婆が腰を曲げて登って来た。

「御馳走が来ましたよ。」

矢代は槙三の質問を喰いとめたくて戸口の傍へ立って行った。小屋まで来た老婆はよく磨きのかかった手櫃を二つ矢代に渡した。

「さア、どれから始めるかな。」

矢代は手櫃の蓋を取って見て、山の料理は出す順序が難しいものだなと思った。こんにゃくの白和、自然薯のとろろ、揚物の生椎茸、それに彼の手料理の鶏の丸焼と杉菜の煮物、こうずらりとテーブルの上へ、皿と一緒に並べてからまた彼は云った。