Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
そして、由吉や塩野らの一団の上を見廻しながら、これらの人人も何らかの病根を抱いてそれぞれ苦しんでいる一群れだが、果して存命のうちにその病いは取り去ることが出来るかどうか、疑わしいことだと思った。
「船がここの港のあの灯台のところまで入って来たときに、突然海中へ飛び込んで、自殺した婦人があったということを聞いたが、――それは外国へ行くときに、事務長からコロンボあたりで聞いたんですがね、どうもそのときには、よくその婦人の気持ちが分らなかったが、帰って来てみると、何んとなく僕には分って来ましたね。」
と矢代は真紀子の今の身の上に通じるものもありそうに思えて千鶴子に云った。
「あそこで、まあ――」千鶴子も真紀子の船と灯台との間を眺めつづけていた。
「あたしはあそこを船が入って来るとき、何んだかしらわくわくして嬉しかったけど、これで反対の人もあるのね。そしたら、やはりそうかもしれないわ。」
「僕はシベリヤから満洲里へ入るときだったな。あのときは忘れられない興奮を感じた。生れて初めて清浄無垢な気持ちになったと思ったが、――」
こう云いつつも矢代は、千鶴子の船がこの埠頭へ入って来るとき出迎えもしなかった自分の理由が、何か得手勝手なつまらぬ思惑のように思われて苦痛を覚えて来るのだった。