Classici giapponesi con furigana
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ひめくり
日めくり
壺井 栄
Leggi 日めくり (ひめくり) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.884 caratteri · 34 schermate
「どうしましょう。縁起でもない」
見つけられてはもう仕方がないとばかりにぺったりすわりこんだ小母さんは、苦笑とも泣き笑いともつかぬ表情で、
「何かのまちがいですわ。お気になさらない方が、よろしいですよ」
元子は声をあげて笑い出した。笑いはすぐには止まらず、起き上って、腹をかかえて笑った。起き上ったのは寝ついてからはじめてであった。そして、それをきっかけに元子は食慾が進み出した。しばらくの間、思い出し笑いは続いた。
――こういうことって、なが生きするそうよ。
元子の友人にそんなことをいい出すのが出てきたりして、噂は知人の間にひろまっていった。
――おめでとう。いのち拾いしたんですって。御仏前のおかげですよ。
そういうことにきめて、笑い話にしていたら、秋になって急にぜんそくが起った。肺炎のおき土産だと医者はいった。それ以来、元子のぜんそくは、時々ヒステリー女のようにたけりたち、一年の半分を病院でくらしている。生きていれば、それでもよいではないかと元子は思う。さりとて、本気で「御仏前」を山形のところへもってゆく馬鹿もなかろう。
コンクリートで固めたせまい道路は、久しぶりで下駄をはいた元子の背骨にきんきんとひびく。