Classici giapponesi con furigana
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うえの
日和下駄 一名 東京散策記
永井 荷風
Leggi 日和下駄 一名 東京散策記 (うえの) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.955 caratteri · 70 schermate
僕は相手の気勢を挫くつもりで、その言出すのを待たず、「お金のはなしじゃないかね。」というと、お民は「ええ。」と顎で頷付いて、「おぼし召でいいんです。」と泰然として瞬き一ツせず却て僕の顔を見返した。
「おぼし召じゃ困るね。いくらほしいのだ。」
斯ういう掛合に、此方から金額を明言するのは得策でない。先方の口から言出させて、大概の見当をつけ、百円と出れば五拾円と叩き伏せてから、先方の様子を見計らって、五円十円と少しずつせり上げ、結局七八拾円のところで折合うのが、まずむかしから世間一般に襲用された手段である。僕もこのつもりで金高を質問したのである。ところが相手は是まで大分諸処方々無心に歩き廻った事があると見えて、僕よりはずっと馴れているらしい。
「いくらでも結構です。足りなければ又いただきに来ますから。きょうはいくらでも御都合のいいだけで結構です。」
「じゃ、これだけ持っておいでなさい。今日は少し取込んだ用事があるから。」と僕は持合せた拾円紙幣二枚を渡すと、お民はそれを手に取ったまま、暫く黙って僕の顔を見た後、
「後はいつ、いただけるんでしょう。」
「それだけじゃ足りないのかね。