Classici giapponesi con furigana
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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
Leggi 日日平安 (にちにちへいあん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.297 caratteri · 56 schermate
十郎太は少し癇癪を起こしかけた。ここに至って男は度胸をきめたらしかった、彼はもう居直ったという表情で云った。
「貴方のお人柄をみこんでお願いします、私は空腹で死にそうなんです、すみませんが御所持の中から少し拝借させてくれませんか」
「金ですって」十郎太は眠りからさめたような眼で相手を見た、「――すると貴方は、そのために切腹しようとしているんですか」
「手っ取り早くいえば、そうなんです」
「それはどうも」十郎太は相手の姿を眺め、まだ納得がいかない顔つきだったが、ふところへ手を入れて紙入を捜した、「――私もそうたくさんは持っていないが、これから江戸まで帰るもんですからね、しかし」
ふところには紙入はなかった。彼は首を傾けながら両の袂を捜し、「ちょっと待って下さい」と云って、背負っていた旅嚢を解いてしらべ、小さな財布をみつけてまた首をひねった。彼がその財布をはたくと、中から小粒銀が一つと若干の文銭が出て来た。彼はいぶかしげに眉をしかめ、「はてな」とつぶやいた、「今朝あの宿で払いをするときに、――」こうつぶやきながら、うわ眼づかいにじっと、どこかをにらんだ。
「どうかされたんですか」