Classici giapponesi con furigana
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ぎじんのすがた
日本の怪談
田中 貢太郎
Leggi 日本の怪談 (ぎじんのすがた) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.030 caratteri · 115 schermate
備後は四発目を打ちかけた。
「よーツ」
流石の備後も周章(あわ)てぎみであった。
「いーつツ」
怪獣は順々に備後の弾の数とりをして往った。備後の眼は血走っていた。
「とう」
十の数とりをしてしまった怪獣は、弾を受けていた黒い器を備後に向けて投げつけた。
「備後、もう、弾はあるまい」
怪獣は巌の上に立ちあがってぎらぎらと眼を光らし、いきなり飛びかかりそうな気配を示した。備後の腰の皮袋には余分に鋳たまだ一個の弾があった。彼は手早くその弾をこめて放した。怪獣は恐ろしい叫びをあげてからその姿を消してしまった。
備後はたしかに今の弾が怪獣に当ったと思った。彼はその辺(あたり)を探して歩いたが、それらしいものは見つからなかった。彼は怪獣の投げつけた黒い器を拾って帰った。帰りながら見るとその器は古い茶釜の蓋で、それには己(じぶん)の打ったらしい弾の痕が数多(たくさん)残っていた。
備後は家へ帰って怪獣の話をして、持って帰った古茶釜の蓋を出した。それはその日に見えなくなった己の家の茶釜の蓋であった。其処で飼猫を詮議して見ると、それも朝から何人(たれ)も見た者がなかった。