Classici giapponesi con furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Leggi 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.092 caratteri · 45 schermate
渡辺は真面目にその手をしっかり握った。手は冷たい。そしてその冷たい手が離れずにいて、暈のできたために一倍大きくなったような目が、じっと渡辺の顔に注がれた。
「キスをして上げてもよくって」
渡辺はわざとらしく顔をしかめた。「ここは日本だ」
たたかずに戸をあけて、給仕が出て来た。
「お食事がよろしゅうございます」
「ここは日本だ」と繰り返しながら渡辺はたって、女を食卓のある室へ案内した。ちょうど電燈がぱっとついた。
女はあたりを見廻して、食卓の向う側にすわりながら、「シャンブル・セパレエ」と笑談のような調子でいって、渡辺がどんな顔をするかと思うらしく、背伸びをしてのぞいてみた。盛花の籠が邪魔になるのである。
「偶然似ているのだ」渡辺は平気で答えた。
シェリイを注ぐ。メロンが出る。二人の客に三人の給仕が附ききりである。渡辺は「給仕のにぎやかなのをご覧」と附け加えた。
「あまり気がきかないようね。愛宕山もやっぱりそうだわ」肘を張るようにして、メロンの肉をはがして食べながらいう。
「愛宕山では邪魔だろう」
「まるで見当違いだわ。それはそうと、メロンはおいしいことね」
「いまにアメリカへ行くと、毎朝きまって食べさせられるのだ」