Classici giapponesi con furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Leggi 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.092 caratteri · 45 schermate
裳裾、せまき間をくぐりながらたわまぬ輪を画きて、金剛石の露こぼるるあだし貴人の服のおもげなるをあざむきぬ。
時うつるにつれて黄蝋の火は次第に炭の気におかされて暗うなり、燭涙ながくしたたりて、床の上にはちぎれたる紗、落ちたるはなびらあり。前座敷のビュッフェエにかよう足ようようしげくなりたるおりしも、わが前をとおり過ぐるようにして、小首かたぶけたる顔こなたへふり向け、なかば開けるまい扇に頤のわたりを持たせて、「われをばはや見忘れやしたまいつらん」というはイイダ姫なり。「いかで」といらえつつ、二足三足つきてゆけば、「かしこなる陶物の間見たまいしや、東洋産の花瓶に知らぬ草木鳥獣など染めつけたるを、われに釈きあかさん人おん身のほかになし、いざ」といいて伴いゆきぬ。
ここは四方の壁に造りつけたる白石の棚に、代々の君が美術に志ありてあつめたまいぬる国々のおお花瓶、かぞうる指いとなきまで並べたるが、乳のごとく白き、琉璃のごとく碧き、さては五色まばゆき蜀錦のいろなるなど、蔭になりたる壁より浮きいでて美わし。されどこの宮居に慣れたるまろうどたちは、こよいこれに心とどむべくもあらねば、前座敷にゆきかう人のおりおり見ゆるのみにて、足をとどむるものほとほとなかりき。