Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あべいちぞく

日本の文学 3 森鴎外(二)

森 鴎外

Leggi 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.545 caratteri · 140 schermate

Aozora Bunko

仲平はこの発明を胸に蔵めて、誰にも話さなかったが、その後は強いて兄と離れ離れに田畑へ往反しようとはしなかった。

仲平にさきだって、体の弱い兄の文治は死んだ。仲平が大阪へ修行に出て篠崎小竹の塾に通っていたときに死んだのである。仲平は二十一の春、金子十両を父の手から受け取って清武村を立った。そして大阪土佐堀三丁目の蔵屋敷に着いて、長屋の一間を借りて自炊をしていた。倹約のために大豆を塩と醤油とで煮ておいて、それを飯の菜にしたのを、蔵屋敷では「仲平豆」と名づけた。同じ長屋に住むものが、あれでは体が続くまいと気づかって、酒を飲むことを勧めると、仲平は素直に聴き納れて、毎日一合ずつ酒を買った。そして晩になると、その一合入りの徳利を紙撚で縛って、行燈の火の上に吊るしておく。そして燈火に向って、篠崎の塾から借りて来た本を読んでいるうちに、半夜人定まったころ、燈火で尻をあぶられた徳利の口から、蓬々として蒸気が立ちのぼって来る。仲平は巻をおいて、徳利の酒をうまそうに飲んで寝るのであった。中一年おいて、二十三になったとき、故郷の兄文治が死んだ。学殖は弟に劣っていても、才気の鋭い若者であったのに、とかく病気で、とうとう二十六歳で死んだのである。