Classici giapponesi con furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Leggi 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.545 caratteri · 140 schermate
と言った。これは医道のことなどは平生深く考えてもおらぬので、どういう治療ならさせる、どういう治療ならさせぬという定見がないから、ただ自分の悟性に依頼して、その折り折りに判断するのであった。もちろんそういう人だから、かかりつけの医者というのもよく人選をしたわけではなかった。素問や霊枢でも読むような医者を捜してきめていたのではなく、近所に住んでいて呼ぶのに面倒のない医者にかかっていたのだから、ろくな薬は飲ませてもらうことが出来なかったのである。今乞食坊主に頼む気になったのは、なんとなくえらそうに見える坊主の態度に信を起したのと、水一ぱいでする咒なら間違ったところで危険なこともあるまいと思ったのとのためである。ちょうど東京で高等官連中が紅療治や気合術に依頼するのと同じことである。
閭は小女を呼んで、汲みたての水を鉢に入れて来いと命じた。水が来た。僧はそれを受け取って、胸に捧げて、じっと閭を見つめた。清浄な水でもよければ、不潔な水でもいい、湯でも茶でもいいのである。不潔な水でなかったのは、閭がためには勿怪の幸いであった。しばらく見つめているうちに、閭は覚えず精神を僧の捧げている水に集注した。