Classici giapponesi con furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Leggi 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.545 caratteri · 140 schermate
そのほか二人の間にはなんの詞も交わされなかった。親子は心の底まで知り抜いているので、何も言うにはおよばぬのであった。
まもなく二張の提燈が門のうちにはいった。三男市太夫、四男五太夫の二人がほとんど同時に玄関に来て、雨具を脱いで座敷に通った。中陰の翌日からじめじめとした雨になって、五月闇の空が晴れずにいるのである。
障子はあけ放してあっても、蒸し暑くて風がない。そのくせ燭台の火はゆらめいている。螢が一匹庭の木立ちを縫って通り過ぎた。
一座を見渡した主人が口を開いた。「夜陰に呼びにやったのに、皆よう来てくれた。家中一般の噂じゃというから、おぬしたちも聞いたに違いない。この弥一右衛門が腹は瓢箪に油を塗って切る腹じゃそうな。それじゃによって、おれは今瓢箪に油を塗って切ろうと思う。どうぞ皆で見届けてくれい」
市太夫も五太夫も島原の軍功で新知二百石をもらって別家しているが、中にも市太夫は早くから若殿附きになっていたので、御代替りになって人に羨まれる一人である。市太夫が膝を進めた。「なるほど。ようわかりました。実は傍輩が言うには、弥一右衛門殿は御先代の御遺言で続いて御奉公なさるそうな。