Classici giapponesi con furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Leggi 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) di 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.306 caratteri · 300 schermate
「私はこういう者です」という。
「ああそうですか」といいつつ、それを手に取り上げて読んでみると、「京都市何々法律事務所事務員小村何某」と仰山に書いている。私は、
「ああそうですか」と重ねてうなずいて見せたがこんな男が二人や三人組んで来たくらいで、びくともするのじゃないが、それにしても一昨々日の晩、母親と立ち話をして別れた時にも、自分はどこまでも人情ずくで、真実母子二人の者の身を哀れに思ったのであった。そして、哀れに思えばこそ一人愛しんで長い間尽していたのである。それゆえたとい精神に異状を来たしていようが気狂いであろうが、あんな繊美しい女が狂人になっているとすれば、そんな病人になったからといって、今さら棄てるどころか、一層可愛い。いかなる困難を排しても女を自分の手中の物にして、病気をも癒してやらねばならぬと思っているのに、もし、自分のこの体たらくを見知っている者があって、自分を痴愚とも酔狂ともいわば言え、自分ながら感心するほどの真実を傾け尽して女のことを思っているのに、こんな男を同伴して来る母親の心が怨めしい。なぜ自分のこの胸の内が母親には分らぬのであろう。