Classici giapponesi con furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Leggi 日本の諸国物語 (せっしょうせき) di 楠山 正雄 (くすやままさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 75.040 caratteri · 158 schermate
ある年の秋の半ばのことでした。保名は五六人の家来を連れて、信田の明神の参詣に出かけました。いつものとおりお祈りをすましてしまいますと、折からはぎやすすきの咲き乱れた秋の野の美しい景色をながめながら、保名主従はしばらくそこに休んで、幕張りの中でお酒盛りをはじめました。
そのうちだんだん日が傾きかけて、短い秋の日は暮れそうになりました。保名主従はそろそろ帰り支度をはじめますと、ふと向こうの森の奥で大ぜいわいわいさわぐ声がしました。その中には太鼓だのほら貝だのの音も交って、まるで戦争のようなさわぎが、だんだんとこちらの方に近づいて来ました。主従は何事がはじまったのかと思って思わず立ちかけますと、その時すぐ前の草叢の中で、「こんこん。」と悲しそうに鳴く声が聞こえました。そして若い牝狐が一匹、中から風のように飛んで来ました。「おや。」という間もなく、狐は保名の幕の中に飛び込んで来ました。そして保名の足の下で首をうなだれ、しっぽを振って、さも悲しそうにまた鳴きました。それは人に追われて逃げ場を失った狐が、ほかの慈悲深い人間の助けを求めているのだということはすぐ分かりました。