Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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テガミ

日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7

小林 多喜二

Leggi 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7 (テガミ) di 小林 多喜二 (こばやしたきじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8535 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

――

小さい時から仲のよかったお安は、この秋には何とか金の仕度をして、東京の監獄にいる兄に面会に行きたがった。母と娘はそれを楽しみに働くことにした。健吉からは時々検印の押さった封緘葉書が来た。それが来ると、母親はお安に声を出して読ませた。それから次の日にモウ一度読ませた。次の手紙が来る迄、その同じ手紙を何べんも読むことにした。

*

とり入れの済んだ頃、母親とお安は面会に出てきた。母親は汽車の中で、始終手拭で片方の眼ばかりこすっていた。

何べんも間誤つき、何べんも調らべられ、ようやくのことで裁判所から許可証を貰い、刑務所へやってきた。――ところが、その入口で母親が急に道端にしゃがんで、顔を覆ってしまった。妹は吃驚した。何べんもゆすったが、母親はそのまゝにしていた。

「お母ッちや、お母ッちゃてば!」

汽車に乗って遥々と出てきたのだが、然し母親が考えていたよりも以上に、監獄のコンクリートの塀が厚くて、高かった。それは母親の気をテン倒させるに充分だった。しかもその中で、あの親孝行ものゝ健吉が「赤い」着物をきて、高い小さい鉄棒のはまった窓を見上げているのかと思うと、急に何かゞ胸にきた。