Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.649 caratteri · 27 schermate
良人のこえは低いうちにも力がこもってきた、
「たいせつなのは身分の高下や貧富の差ではない、人間と生れてきて、生きたことが、自分にとってむだでなかった、世の中のためにも少しは役だち、意義があった、そう自覚して死ぬことができるかどうかが問題だと思います、人間はいつかは必ず死にます、いかなる権勢も富も、人間を死から救うことはできません、私にしても明日にも死ぬかもしれないのです、そのとき奉行所へ替ったことに満足するでしょうか、百石、二百石に出世し、暖衣飽食したことに満足して死ねるでしょうか、否、私は勘定所に留まります、そして死ぬときには、少なくとも惜しまれる人間になるだけの仕事をしてゆきたいと思います」
膝を固くし頭を垂れていた弥生は、みえるほどからだが震えるのを抑えることができなかった。感動というよりは慚愧に似たするどい思考が胸につきあげ、それが彼女を二つにひき裂くかと思えた。――生き甲斐とはなんぞや、ながいこと頭を占めていたその悩みが、いま三右衛門の言葉に依ってひとすじの光を与えられた。それはまぎれもなく暗夜の光ともたとえたいものだった。――貧しい生活をしていると富貴でさえあれば生き甲斐があると思いやすい、良人は今そう云った。