Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.765 caratteri · 21 schermate
武家の妻として夜酒を買いにゆくなどということは恥ずかしいし、時刻も時刻なので菊枝はちょっと立てなかった、すると三郎兵衛はびっくりするような高声でどなりつけた、
「なにをうろうろしているんだ、寝ていたら起こして買え、すぐいって来い」
あまりのはげしさに菊枝はなかば夢中で良人の部屋をはしり出た、呼吸が苦しく、膝がしらがおののいた、けれどそのまま厨へゆこうとすると姑の呼びとめる声がしたので、心せきながらたち戻って襖をあけた。
「茨木屋の店は下の辻にあります」
姑はあちらを向いたままそう云った、
「お酒くらいはもうつねづね用意して置かぬといけませんね、こんな時刻になって買いに出るのは恥ずかしいことですよ」
はいといって頭をさげると泪がこぼれそうになった、菊枝は口のなかで詫びながら気もそぞろに厨口から出ていった。……春とはいってもまだ二月はじめの夜はひどく凍てていた、米沢はまわりを山にかこまれていて冬がながい、城下町には汚なく溶けのこった残雪があり、昼はむやみにぬかる道が、夜になるとそのまま冰るので、うっかりあるくと踏み返して足を痛める、菊枝は気もあがっていたし、馴れぬ夜道ではげしく躓き、踝のところを捻挫した。