Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.620 caratteri · 26 schermate
忘れないように、いつも想いだしてあげるのが孝行というものですよ。継母と継子というものがどうしても動かせないものとすれば、寧ろ子供の心を実母の俤へつないで置くほうがよいのではないか、そう思って云ったのである。欣之助はちょっと微笑して、「でも父上にはこのことは仰有らないで下さい……」そう念を押すように云った。心なしかほっと安堵したような色が眼にあらわれるのを私は見たと思った。そのことだけが重要だったのではないだろうが、それからしだいに欣之助の気持がこちらへ近づいてきた。「ゆうべお母さまの夢を見ましたよ」そんなことをいかにも内証らしく耳のそばへ来て囁く時など、何ともいえないじかな愛情のつながりが生れているのに感づかされた。
……ずっとのちになって、たしか十一歳のときかに欣之助が「あのとき亡くなった母上のことを忘れるなと仰有られてから、却って母上のことが想いだせなくなってしまいましたよ。そのまえは朝も晩もそのことばかり考えていましたのにね……」そう云って笑ったが、私は決してそんな工の綾を織ったわけではない。そのほうが自分も子供も気持がらくになるだろうと思ったからだ。