Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.412 caratteri · 25 schermate
ある、亡くなったひとにも頼むと云われたし、云われなくともこの甥を捨てて嫁にゆく気持は自分にはない、そういってきかないのだ、父からも色いろ申してやったが、結局は破談にしてしまった、そして今でもあれはおまえが成人するまでは旗野にとどまると云っている、弁之助……おまえも十六歳になった、少しは人の心のうらおもてもわかる年ごろだ、こんど勝山へ帰ったら叔母に礼を云わなければなるまいぞ」
弁之助は頭を垂れ両手で膝をかたくつかんだまま返辞もできずにいた。あの雪の日の恐怖の瞬間が今こそ違った角度からあらためて思いだされる、武士らしい武士に躾けることは一つのたたかいだという言葉は、今こそ彼にあったことの真実を示して呉れたのだ、――そうだ、自分が苦しかったよりなん倍も叔母上は辛い苦しさを忍んでいたのだ、幼ない自分にはわからなかったがあのきびしい躾けの蔭にはやっぱりあまくやさしい叔母の涙がかくされていたのだ。彼には十年ぶりでほんとうの叔母を見るような気持がし、あふれてくる涙を押えることができなかった。そして、出府して来るときには思いも及ばなかった再会のよろこびを胸に描きながら、飛騨守の供をして勝山へ帰った。