Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.032 caratteri · 22 schermate
「こちらへ御奉公に上るとき、親たちの間で定ったのでございます」
平三郎は一種の胸苦しさを感じた。二十五歳の今日まで、かつて知らない感情である、怒りでも不満でもなく、悲しいとか口惜しいというのでもない、なにか遁れ途のないところへ墜ちこみ、大きな力で胸を圧迫されるような感じだった。彼は、さがっていいといった、八重は消え入るような声で、「申しわけございません」といってしずかに去っていった。……それから母親がはいって来るまでのかなり長い時間、彼は身動きもせずに部屋の一隅を覓めていた。
「どういいました」はいって来たなお女は、我子のようすを見て、およその事情を察した、「……いやだと云ったのですか」
「国のほうに約束した者があるそうです」
「わたくしからもういちど訊いてみましょう、もしかして独り思案の口実かも知れませんから、あの子にはそういうところがあるのです」
なお女はすぐに立っていった、平三郎はやはり部屋の一隅をじっと見まもっていた。
明くる日、彼が母親から聞いたのは、「八重のことはお諦めなさい」という言葉だった。平三郎はにこっと笑った、「やむを得ません」彼は明るい眼で母を見ながらこういった。