Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.032 caratteri · 22 schermate
平三郎はその顔をびっくりしたような眼で見つづけながら、八重が五年というとしつき最も自分の身近にいたこと、朝な夕な着替えの世話や、持物の心配や、寝床の面倒や、その他の細ごました身のまわりすべての厄介をかけて来たこと、そしてそれはもう自分と切り離すことのできないほど、密接なつながりをもっていることなどを思いめぐらした。「多少の困難はあるだろうが」と、彼は八重を見まもりながらいった。
「……失策はとり戻さなければならない。今日、帰ってから父上にお願いをしよう、おまえもそのつもりでいて呉れ、いいか」
そしてしずかに出ていった。
平三郎は八重を娶ることが容易であろうとは信じなかった。しかしまた、それほど困難だとも考えなかった。ただ問題は芝方のほうへいちおう承認の旨を通じてしまったことである、武家同志のあいだで、一旦とり交わした約束を後から反古にするということは簡単ではない、仲に立った鹿島主税も困るだろうし、なにより父や母に迷惑をかけなければならぬ、彼にとってはこれがなにより苦しかった。――しかし、と、平三郎は思った。しかしこれは自分にとって避け難い運命だったのだ。