Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.091 caratteri · 30 schermate
……かれらは汀に近い樹蔭に毛氈を敷いて、花枝を盃にうつしながら小酒宴をたのしんだ。むかし暴れまわった頃とは違って、それぞれ役にも就き、中にはもう結婚している者さえあるので、話題もとかく政治に関するものが多く、その年ごろの癖でずいぶん機微に触れることも少なからず出た。そのうちに樋口藤九郎という者がふと声をひそめながら、
「うえもんのすけさまが水戸の御胤だということを聞いたが、おのおのは知らないか」
と思いもかけぬことを云いだした。右衛門佐とは藩主水野家の世子忠春のことをいう。けんもつ忠善の次子であり、長子の造酒之助が早世したため世継ぎとなった、二年まえ十五歳のときこの岡崎へも来て、かれらはみなめみえの杯を賜わった組である。
「そんなばかなことが」
と、松井六弥が笑った、
「おれもそう思うけれど」
藤九郎はなお声をひそめて云った、
「その噂はなかなか真実らしいのだ、お上が水戸中将(光圀)さまに心酔していらっしゃることは知らぬ者はないだろう、御心酔のあまり中将さまに懇願あそばして、御誕生まえから御子を頂戴するお約束をなすった、そして御出生あそばすと産着のまま屋敷へお迎え申したのだという、俗に親知らず子といって産屋からすぐに頂いて来た、その証拠にはうえもんのすけさまの御守り刀は葵の御紋ちらしだというぞ」